ここでは、私が農業という仕事に就いて感じたことや考えたこと、農業における裏話等を掲載します。

地産地消の勧め

皆さんは、「地産地消」って言葉を耳にしたことはないですか?
 地元で作った食べ物は地元で消費しよう(食べ物は地元のものを食べましょう)と言う言葉です。

 私も、この「地産地消」は大賛成です。なぜ、地産地消なのか?

 私は、米農家ですが、米以外に野菜も栽培し出荷しています。出荷先は主に市場や直売所です。
 皆さんは、農家が大地から収穫したものが、消費者(皆さん)の口に入るまでどれぐらいの時間がかかるか知っていますか?簡単に説明しますと、

 農家は、朝畑に行って作物を収穫し綺麗にした後、出荷用のコンテナやダンボールに詰めます。その後、夕方に農協(JA)や市場にもって行きます。
 市場についた商品は、地元で消費される場合は冷蔵庫で保管され、次の朝に競りにかけられ、スーパーに引き取られその日の開店には店頭に並びます。(収穫した次の日に消費者が手にできます)

 都市部や地方に行く場合は、一晩かけてトラックで輸送されます。距離にもよりますが、遠いところだと、次の日の昼に都市部(輸送先)の市場に着きます。殆どの市場の競りは朝早く行われるため、輸送先の市場にもう一晩保管されます。そして、3日目の昼にやっと店頭に並べられます。

 有名産地の野菜は美味しいと思うでしょうが、手元に届くまでに最低1日の時間差があります。根菜などは痛みが遅いので問題はないのですが、新鮮野菜と言われる葉物は、見た目は同じでも1日違えば味は数段落ちてしまいます。

 ここでいい例を、スーパーで有名産地のイチゴが高値で売られています。見た目はすごく赤くて甘そうなので買ってみました。食べると、「すっぱい」のです。それは何故か?
 イチゴなどは、傷みが早いので一番美味しい熟した実を出荷すると、お客に届く3日後には痛んでしまい商品になりません。だから、少し青いうちに出荷して、店頭に並ぶころに赤くなるよう計算されています。しかし、イチゴの甘みは摘み取ったときからは甘くならないので、少し「すっぱい」商品となってしまうのです

 このように、野菜などはいくら有名産地であっても、鮮度に勝る美味しさはないため、スーパーで同じ商品を見かけたら地元の商品を手にすることお勧めします。

ちなみに、私のイチゴは直売所と予約注文の人たちにしか売らないので、一番熟した甘くて美味しい実しか渡しません。

農薬について

”農薬” と聞いて、皆さんはどのようにお感じですか?
 「体に何か影響があるかも」「何か危ない感じがする」と思っていることでしょう。ここでは、農薬について私の知る範囲で説明します。

 ”農薬” 文字通り農業で使う薬であり、大きく次の3パターンの機能で分類されます。
 1.殺虫剤:作物を食べようとする虫を殺すもの
 2.殺菌剤:作物がかかる病気(菌)を殺したり、作物に抵抗性を待たせるもの
 3.除草剤:作物以外の雑草を駆除するもの

今の農薬は、色々と研究され植物には作用するが、動物には影響の無い薬が使用されています。1.殺虫剤からその仕組みを簡単に説明しると

1.殺虫剤
 殺虫剤と聞いて思いつくのが、キンチョールなどが代表的な家庭用の殺虫剤だと思います。農薬の殺虫剤の場合は、家庭の殺虫剤と同じように虫の神経系に作用して殺すものや、幼虫から成虫になる過程で成長を邪魔するものなどがあります。どれも、昆虫特有の体の仕組みや生態機能に作用するため人には高い安全性を示します。

2.殺菌剤
 植物の病気の多くは、カビやバクテリアが原因です。殺菌剤はこの菌類に作用して植物を病気から守るためのものです。この菌類を殺す方法も、人には無く菌類にしかない成分に作用するように作られているので安全性は高いです。

3.除草剤
 除草剤の使った後を見ると、きれいに草が枯れてしまっているので、人にも影響がありそうと思われがちです。しかし、除草剤の大部分は、植物の光合成を阻害するタイプ,植物の成長ホルモンを撹乱するタイプなど植物特有の生理機能に作用するようにできていますので人間には無害です。ただし、作物の植物ですので、雑草を枯らすつもりが作物にかかると作物も枯れてしまいます・・・。

以上、簡単に農薬の種類と仕組みを説明しましたが、今の農薬は殆ど人間に害が無いように作られています。

 しかし、虫であれ細菌であれ、生物を殺してしまうような薬がかかったものを口にすることに抵抗がある人も多いと思います。
 私たちは、耕作面積が大きいため、農薬を頼らずに作物を虫の害や病気から守ることができないのが現状です。
ですから、私たちは通常の米作りに使われている農薬を半分に減らした米作り(滋賀県では「環境こだわり作物」と言います)を実施し、より安全な米を皆さんに提供しようと日々取り組んでいます。

今後も、より安全で美味しい作物を作るため、色々な技術を取り入れて行きたいと思います。

お米の虫について

夏になると、米を販売している私どもとしては、販売したお米に虫が付かないか、大変気になるところです。
お米に付く虫というのは、秋の収穫時に実に卵を産みつけるため、農家が販売するお米は、どうしても完全に虫を取り除くことができません。

そのように書くと、農家が販売するお米を買うのは嫌だなと思われるかもしれませんが、裏を返せば虫が付くお米は薬を使わず安全であることになります。

と言うのも、お米屋さんやスーパーで売られているお米には虫が付きませんよね。
秋の収穫時期に卵を産みつけられるとしたら、お米屋さんは買い取った米に虫が付かないように何をしているのでしょう?

少し調べたら、どうもお米に殺虫剤をかけて虫を殺しているみたいです(全てのお米屋さんやスーパーがしているとは言えませんが)。 夏の時期に買ったお米から虫が発生しなければ、必ず殺虫剤が使用されていると思ってもいいみたいです。

この殺虫剤の使用は、食品衛生上実施してもいいみたいです。
お米を買うときに、農薬の使用や頻度を気にして買われている人がたくさんいると思いますが、食べる直前にまかれる殺虫剤については誰も気にしていないのが現実でしょう。

わかりやすく言うと、「無農薬米!!」と書かれたお米がスーパーで売られていたとします。この商品は、栽培時に無農薬であっても、店頭に並ぶときには殺虫剤と言う薬がかけられている無農薬米と言うことになります。

頑張って、無農薬や減農薬で栽培している農家にとって、販売者によって殺虫剤がまかれているとなると、どうも納得がいかないの本音です。

もし、お米と言う主食に安全を求めるのであれば、農家から直接購入することをお勧めします。

ご飯一杯の値段

百年に一度の危機と言う見出しで、連日のように経済危機がニュースで叫ばれています。
この年末から来年にかけて、本当に家庭の収入にも苦しい時期が来るかもしれません。

そこで、米農家の私としては、普段の食卓に出る茶碗一杯のご飯の値段はいくらぐらいのものなのか計算してみました。

私が販売している 蛍の里のコシヒカリ 10kg を購入したとして、送料込みで5000円ぐらいですかね。これを茶碗一杯(白米65g)に換算すると 32円/杯

では、この32円でどのようなものが食べられるかと言うと、
食パン(198円5枚切)なら 0.8枚
インスタントラーメン(130円/袋)なら 1/4人分
牛乳(200円/L)なら 160ml
ペットボトルの水(110円/500ml)なら 145ml
ってことになります。

私なんか、茶碗一杯だとお腹も膨れるけど、パン0.8枚だと食べた気もしません。また、コップ一杯の水とご飯一杯が同じ値段って言うのもびっくりです。

お米を買うときは、10kgとかのまとめ買いなので高く感じますが、茶碗一杯に換算すると一番安くてカラダのエネルギーになる食べ物なのです。
家計の節約の意味でも、もう一度茶碗一杯のご飯を見直してみるのもいいかもしれません。

給食への出荷

毎年秋になると、JAから「出荷しているブロッコリーを学校給食用に回してほしい」との依頼があります。

11,12月に取れるブロッコリーのうち、1/4程度を学校給食用に選別して出荷します。
私が育てたブロッコリ-が「ブロッコリーおかか和え」や「クリームシチュー」という形で小学校と中学校の生徒さんの口に入ります。

今日本は、食品偽装や異物の混入など食の安全において何を信じればいいのかわからない状態です。そんな中で、未来のある子供達に自信を持って育てた食材を提供できると言うのは、凄く誇りに感じることでもあり嬉しい限りです。

実際、私の娘の通う小学校の給食にも使われており、全校が一緒に食べるランチルームで「2年生の川瀬さんのお父さんが作ったブロッコリーです」と紹介されたそうです。娘にとっては照れくさかったみたいですが、子供に自分の仕事がどのように役に立っているのか実感してもらったことでしょう。

自分の作った作物を給食用に出荷する。これは、地産地消のあるべき姿であり子供達の食育への大きな役割にもなっていると思います。
これからも、給食用食材は率先して提供していきます。

全国の小学校で、地元の農家さんが作っている米や野菜を採用してもらえれば、農家にとって誇りに繋がるし、子供にとっても農業という職業がカッコイイ仕事に写ると思います。

子供達のため、農家のためにも給食での地産地消を全国の学校で採用してもらいたいものです!!